地政学リスク in Asia

今回は、少し趣旨を変えて、アジア圏の金融機関を使うにあたっての「地政学リスク」ということをお話ししたいと思います。

金融の世界における「地政学リスク」とは、特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張の高まりが、地域の位置的な関係によって、その地域や関連地域の経済および世界経済全体の先行きが不透明になること、およびこれに伴うリスクを指します。

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今このタイミングで、「地政学リスク」について言及するということは、彼の国に関するリスクを語ることに他なりません。

彼の国とは、当然「中国」のことです。

 

言うまでもなく、経済的にもそれ以外の意味においても、アジア圏における最大の国家は中国です。

厄介なのは、この国は、他の多くの国々とはかなり異なった価値観を持つ一党独裁の国家であり、その大きくなった力を覇権的に使用するなど、地域の安定に対して大きな障害になり得る国であるということです。

 

そして、その覇権が狙う最大の目標のひとつが、「両岸統一」、つまり台湾を取り込んだ統一です。

その統一を目指して、台湾を武力で侵攻する「台湾有事」は、この地域における地政学リスクの最大のものと言えますが、残念ながら、この台湾有事は、「起きるか/起きないか」ではなく、「いつ起きるか」というステージに移ってきているように思います。

 

それがいつ起きるかということを予測することは、もちろん困難ですが、早ければ北京の冬季五輪が終われば、いつでも起こり得ると指摘する声もあります。

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そして、台湾有事から尖閣奪取というのが一連の流れであることを考えても、日本は、中国と軍事的に対峙せざるを得ない可能性が高まっていると言えるでしょう。

その意味では、台湾有事は対岸の火事ではなく、日本国および日本人を直撃するとてつもなく大きなリスクと言えます。

 

そうなった場合、中国本土はもちろんのこと、香港も含めて中華圏に存在する金融機関に預けられた敵国人の資産は、当然のごとく凍結・没収という憂き目を見ることになります。

 

香港は、あっという間に自由を失いました。

それでも、香港において金融機関を利用し続けるリスクは、以前と何も変わらないという方もいますが、私は、この点に関して楽観的な見方は持っていません。

今は大丈夫だとしても、ある日突然、人民解放軍が台湾を侵攻すれば・・・

 

このような事が起きないことを強く願いますが、その一方で、中華圏に資産を持っておくことのリスクを十分に認識して対策を講じておく、というのが私のスタンスです。

経済の先行きが不透明になるといったレベルではない地政学リスクに直面しているわけですから。

 

このようなブログを書きながら矛盾した話かもしれませんが、皆様の地政学リスクに対する備えの一助にしていただけると幸いです。

もちろん、すべてのご判断は自己責任でお願いいたします。