今回は、タイのアユタヤ銀行(Krungsri)のATMデビットカードを使った、セブン銀行ATMで日本円の引き出しについて、ご紹介します。
セブン銀行ATMからの引き出し方法は、特に説明を要するものではありません。カードを差し込み、画面の流れに沿って、進んでいけばいいだけです。
あえて言うなら、他の海外発行カードでも同様ですが、途中で口座の種類を選択する画面があり、ここでどの口座を選択すればよいか迷うケースがあるかもしれません。そのような場合は、基本的には「Skip」を選択すれば、問題ないと思います。
ここでご紹介したいのは、この引き出しにどのくらいのコストがかかったかということです。
決して小さな金額でもありませんし、コスト構造も含めて、参考にしていただければと思います。
■引き出し内容
ATM | セブン銀行ATM |
使用カード | Krungsri Thai Debit |
JPY引き出し金額① | JPY 50,000 |
THB引き落とし金額② | THB 14,047.69 |
ATM側手数料③ | JPY 220 |
Krungsri側手数料④ | THB 100 |
適用レート (①+③)/(②-④) | 3.6006 |
セブン銀行のHPによると10万円までは引き出し可能と思われましたが、10万円を指定すると「金額超過」で引き出しができず、やむなく5万円の引き出しとしました。
※2022.4.12追記
アユタヤ銀行(Krungsri)側で、引き出し限度額を定めており、THB 20,000/回、THB 60,000/日に換算した額が限度額になっているため、現在のレート水準であれば、7万2千円程度が1回の限度額のようです。
ATM側の手数料は、「1万円以下は110円、1万円超は220円」と表示されますので、引き出し金額が多ければ多いほど、この部分のコストは相対的に割安になります。
また、アユタヤ銀行(Krungsri)側が徴収する手数料は、以下HPにも記載のとおり、一律THB 100になりますが、これは引き落とし金額の中に丸めて含まれるようです。
これらを考慮すると、適用レートは、上記記載のとおり3.6006という金額であることが分かります。
では、この為替レートがどこから来たのか? TTMなどの中値相場と比較してどうなのか? 最終コストはいくらだったのか?といったあたりを検証してみます。
今回利用したカードは、VISAブランドのカードですので、適用レートは、VISAが採用するレートをベースとし、これに手数料が乗ります。
また、VISAのレートもいわゆる市場の中値ではなく、欧州中央銀行(ECB)が発表するレートに、通貨ごとのマークアップ(上乗せ)を加えたレートになっています。
これらを調べてまとめると、当日のレートは以下のとおりとなります。
■各レート
ECB発表レート① | 3.6963 |
VISA発表レート② | 3.6726 |
実際の適用レート③ | 3.6006 |
VISAの対ECB(①/②) | 0.645% |
適用レートの対VISA(②/③) | 2.000% |
※欧州中央銀行(ECB)やVISAの発表レートは、以下を参照しています。
VISAのサイトでは、対ECBのマークアップ率は、計算の都度開示されますし、アユタヤ銀行(Krungsri)も対VISAに対して2.0%の手数料を取ると謳っていますので、それぞれ記載どおりの率で間違いないことが分かります。
最後に、各コストが上乗せされた結果をまとめると、もっとも中値に近いECBレートに対しては、以下のとおり、コストがかかったことになります。
引き出し金額① | JPY 50,000 |
ECB発表レート② | 3.6963 |
ECBレートを適用した場合のTHB③(①/②) | THB 13,527.04 |
実際のTHB引落し金額④ | THB 14,047.69 |
最終コスト割合⑤(④/③) | 3.849% |
最終JPYコスト(①×⑤) | JPY 1,926 |
つまり、5万円の日本円を引き出すのには、合計で約3.85%のコストが必要で、これを日本円換算すると、2千円近い金額がかかったということですね。
※2022.4.12追記
もし、現在水準の引き出し限度額(回)である7万2千円を引き出すのであれば、約3.48%≒2,500円ほどのコストになります。
さあ、これをどのように受け止めるか。
THBというのは、決してメジャー通貨ではありませんので、ある程度のコストはやむを得ないところですが、さすがにこのコストは厳しいというのが、私の個人的な受け止め方です。
とは言え、日本に居ながらにして、タイの銀行にあるTHBを日本円で気軽に引き出せるのも事実ですので、皆様の参考にしていただければ、幸いです。