中国銀行(BOC)のネットバンキングを使った人民元へのオンライン両替

前回の記事に引き続き、今回は、中国銀行(BOC)のネットバンキングを使った人民元への両替のやり方について、ご紹介します。

 

前回は、以下のとおり、HSBC中国のネットバンクを使った人民元へのオンライン両替の方法をご紹介しており、今回は、その中国銀行(BOC)版です。

aisan-bank.hatenablog.com

 

 

1.手順

  • トップメニューの上部に並んでいるタグから、「结汇/购汇」を選択
  • 「外币兑换账户」から両替元となる口座を選択し、両替元通貨の「结汇」をクリック

 

  • 结汇外币金额」欄に両替元通貨の金額を入力
  • 资金用途」欄から、両替の目的・用途を選択
  • 确定」をクリックすると、確認画面に遷移

 

  • レートや両替金額に問題がなければ、「确定」をクリックし、手続き完了

 

2.為替レート

「结汇/购汇」の最初の画面で、下にスクロールすると、以下のとおり、各通貨の人民元に対する為替レートを確認できます。

ところで、ここには、少し耳慣れない言葉が出てきます。それは、「现汇(xiànhuì)」「现钞(xiànchāo)」という言葉で、それぞれに対し、TTBとTTSが表示されるという形になっています。

この2つの言葉は、ニュアンスを伝える完全な訳語もなく、その意味を完璧に説明することは難しいのですが、以下のように捉えるのが最も分かりやすいでしょうか。

 

【现汇】

電信扱い。例えば、日本から日本円が送金され、それを受け取った場合、その口座は现汇口座となり、この日本円を両替する場合は、现汇のレートが適用される。

【现钞】

現金扱い。例えば、窓口で日本円を現金入金した場合、その口座は现钞口座となり、この日本円を両替する場合は、现钞のレートが適用される。窓口での現金両替も同じ。

 

「现汇」の為替レート(日本円⇔人民元)は、TTBとTTSの平均値をTTMと見た場合、マークアップは、0.37%程度となり、決して悪い水準ではありません。米ドルや香港ドルであれば、0.2%程度となり、かなり良心的と言えます。

もっとも、「现钞」となると、現金の調達や処理に関わるコストがかなり乗せられているようで、特に日本円のキャッシュを人民元に替えてもらう「现钞TTB」の場合、「现汇」のTTMとの差で言えば、3.6%ものマークアップを負担することになりますので、注意が必要です。

 

ちなみに外貨同士(日本円⇔米ドルなど)の両替については、「结汇/购汇」メニューではなく、「外汇」メニューから行う形になっています。それだけ、人民元の両替とは、扱いが異なる(人民元の為替管理はより厳重になる)ということでしょう。

 

3.注意点・その他

(前回の記載とほぼ同じ表現になりますが、ここでもあらためて注意点などを記載します)

ご覧のとおり、人民元へのオンライン両替は、年間5万米ドル相当額まで等の制限はあるものの、極めて簡単に行えます。

では、逆に人民元を日本円など人民元以外の通貨に両替する際は、どうすればいいかと言うと、一般の日本人の場合、ネットバンキングなどオンラインでは手続きができず、銀行の窓口へ出向くしかありません。

おそらく、「中国の身分証もしくは永住ビザを持つ外国人」であれば、この逆の両替も行えるメニュー内容になっているのだと思います。

このような一方通行の仕組みは、中国銀行(BOC)のみならず、私の知る限り、他の銀行でも同様のようで、中国という国家の為替管理戦略に基づくものでしょう。

このように、人民元という通貨は、極めていびつで閉鎖的な通貨であるため、安易に投資対象とするような通貨ではありません。外貨から人民元への両替は、簡単に行えるものの、それを元の通貨に戻そうとすると簡単にはいかず、「行きはよいよい、帰りは怖い」という正に債務の罠のような通貨なのです。

 

したがって、今回ご案内する内容は、あくまでも現地に在住する駐在員の方など、外貨で給与を受け取り、その外貨から人民元への両替が欠かせないといった方向けのものであって、出口戦略のないまま、不用意に日本円などを人民元に両替することを推奨するものでは全くないということをご理解いただけると幸いです。

ネットバンキングを通じた人民元へのオンライン両替ができるようになったのは、10年ほど前のことですが、「これであの糞のような銀行窓口での両替行列待ちから解放される」と感動を覚えたものです。

もし、まだ両替のために、支店窓口に並んでいるという方がいらっしゃれば、参考にしていただければと思います。