HSBC香港を利用したFPSの登録

今回は、「なんとかPay」シリーズの最終回として、香港のFPSをご紹介します。

 

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香港のFPSは、Faster Payment Systemの略称で、2018年に香港金融管理局によって開始された決済サービスです。

サービスの基本的な性格は、前述のPayNowやPromptPayと同様で、携帯電話番号など扱いやすい番号情報だけで簡便な送金を可能とし、かつQRコードでの支払決済などにも対応しているというものです。

 

1.サービス概要

 ・携帯電話などの番号を銀行口座と紐づけることで、その番号だけで24時間365日の即時送金が可能

 ・番号は、携帯電話番号・emailアドレス・個別の識別番号(FPS Identifier)・香港IDの4つが対応

 ・手数料は概ね無料だが、限度額も含め事業者によって異なる

 ・香港ドルに加えて、人民元にも対応

 ・公共料金の支払や一部の店舗での支払決済(QRコード)にも利用できる

 ・銀行のみならず、OctopusやAlipay、WechatPayなどの決済事業者とも相互連携あり

 

HSBC香港での登録方法

<1>オンラインバンキングでの登録方法

 携帯電話番号で登録する場合、日本の携帯電話番号でも問題ありません。

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  • 「My banking」の「Move Money」から「Register or view FPS registrations」をクリック
  • FPS番号として登録したい番号の「Register」または「Generate」をクリック ※複数登録も可能
  • FPS Identifierを選んだ場合は、自動的に番号が採番され登録完了
  • 携帯電話番号やemailアドレスを登録する場合は、送信されてくるPWを次画面で入力し登録

 

<2>オンラインバンキングでの支払限度額の設定方法

 FPSでの支払を行う場合、初期値ではゼロとなっている支払限度額の設定が必要です。

 設定できる最大の支払限度額(1日あたり)は、HKD 10,000です。

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  • 「My banking」の「Limits」から「Daily payment and transfer limits」をクリック
  • 3つ目の「Small-value payment limit」がゼロの場合は、希望する1日あたりの支払限度額を入力
  • 最下部の「Continue」をクリック
  • 次画面でSecurity Codeを入力し、「Continue」をクリックすれば設定完了

 

<3>モバイルアプリでの使用方法

 QRコードを使った支払決済や受取を行う場合、モバイルアプリを使用します。

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  • 店舗などでの支払は、「Pay with FPS」をタップし、QRコードを読み取る
  • 自身のQRコードを使って、お金を受け取る場合は、「Show my FPS QR code」をタップ
  • 支払う場合はその都度、受取の場合は初回のみ、Mobile Security Keyの入力が必要

 

香港におけるキャッシュレス手段と言えば、まずはOctopus(八達通)でしょう。

Octopusは、「香港のSuica」などとも呼ばれていますが、実はSuicaよりも早く1997年にサービスインをした交通系ICカードで、単純換算すると香港市民一人あたり5枚ほどのOctopusが発行されているというほど香港在住者にとっては、なくてはならない存在になっています。

 

おかげで、「地下鉄の乗車運賃を中心に少額決済はOctopus、大きな金額はクレカ」というスタイルが、既に定着してしまっていたために、モバイル決済など他の手段によるキャッシュレス化が、あまり進んでこなかったというのが、香港の状況かと思います(ここは、日本の環境とも似ています)。

Octopusも、タクシーで使えるようになったり、Apple Payへの搭載が可能になるなど、進化を見せつつありますが、さらなるキャッシュレス化推進という意味では、FPSの位置づけも重要ではないでしょうか。

 

なぜなら、FPSは単なる決済や送金の手段にとどまらず、OctopusやAlipay、Wechat Payなど他の決済システム間を繋いで相互送金を可能とする、言わば「ハブ」のような位置づけも備えているためです。

 

キャッシュレスと言えば、さまざまな決済手段がバラバラに乱立し、管理の負荷などの問題を招きがちですが、FPSがハブになることによって、より便利でスムーズなキャッシュレス化が実現できることを期待したいところです。